■ 住宅ローンが払えないとどうなる?5段階で解説
住宅ローンの支払いが難しくなると、多くの方は
「この先どうなるのか想像できない」「誰にも相談しづらい」
という状態になります。
しかし実際には、
ほとんどのケースで “決まった5段階” を順番に進むだけ です。
この記事では、現場で本当に起きている流れを
専門用語を避けながら、できる限り分かりやすく整理しています。
「今自分はどの段階にいるのか」が分かれば、
取るべき行動も明確になります。
■ 【第1段階】支払いの遅れ(1〜2か月)
最初の1〜2回の滞納では、金融機関からは
- 「お支払いの確認ができませんでした」
- 「ご入金の予定をご連絡ください」
といった、比較的穏やかな案内が届きます。
▼ この時点で起こること
- 延滞損害金(遅延金)の発生
- 電話・郵送での督促が始まる
- 信用情報に“延滞”が記録される可能性
- 口座引き落としが止まることがある
まだこの段階では、
すぐに家を失うわけではありません。
ただし、「1〜2か月くらいなら放置しても大丈夫」と誤解しやすく、
ここでの判断が後の流れを大きく左右します。
■ 【第2段階】督促状・催告書(2〜3か月)
滞納が2〜3か月になると、金融機関の対応が一段階強くなり、
正式な書面(督促状・催告書)が届きます。
▼ よく届く書類
- 督促状
- 催告書(最も一般的)
- 今後の対応についての案内
書面には、
「このまま滞納が続くと契約を解除する場合がある」
などの文言が書かれており、多くの人が不安を感じる段階です。
▼ 最大の落とし穴
怖くて開封しない/放置してしまうこと。
ここでの放置は、
“次の段階(期限の利益の喪失)” への加速につながります。
■ 【第3段階】期限の利益の喪失(3〜6か月)
催告書で指定された期日までに支払いができないと、
契約上の「期限の利益」を失うことになります。
▼ 期限の利益の喪失とは?
本来は「毎月分割で返済していく権利」を持っていますが、
それが失われ、
残りのローン全額を一括で払ってください
という状態になります。
多くのご相談者様がこの段階で
「もう支払いが無理なんじゃないか」と強く感じ始めます。
▼ この段階での変化
- 一括請求が届く
- 支払いの猶予がほぼなくなる
- 相談しづらさが一気に増す
- 気持ちが追い詰められやすい
しかし、まだこの段階でも
競売を止める方法(任意売却)は十分間に合います。
■ 【第4段階】保証会社が残債を支払う(代位弁済)
期限の利益を失った後、決められた期間が経過すると、
保証会社が銀行へ残りのローンを一括返済します。
これを 代位弁済(だいいべんさい) といいます。
▼ この段階で起こること
- 債権者が「銀行 → 保証会社」に切り替わる
- 督促のスピードが一気に早くなる
- 競売の準備が本格的に始まる
- 電話や書面が増える
保証会社は回収のプロなので、
銀行に比べて行動が早く、厳しめになることがあります。
▼ ここから先の「時間の猶予」が少ない
代位弁済が行われると、
競売の流れを止めるには“早い判断”が必要 です。
■ 【第5段階】競売開始決定(6か月〜)
代位弁済後も支払いができない状態が続くと、
最終的に裁判所から
「競売開始決定通知」
が届きます。
この書面が届くと、
競売を止められる時間はかなり少なくなります。
▼ 競売になると起こること
- 売却価格が相場の6〜7割に落ちることが多い
- 引っ越し費用や残置物撤去費用は基本出ない
- ネットに競売情報が公開され、ご近所に知られる可能性
- 残債が多く残るケースがある
- 退去スケジュールが自分で決められない
競売は“最終手段”であり、
避けられるなら避けたほうが良い売却方法です。
■ 競売を避ける方法は? → 任意売却という選択肢
競売が始まった後でも、
任意売却(にんいばいきゃく) なら市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。
▼ 任意売却とは?
「債権者(保証会社)の同意を得て、
通常の売却と同じ方法で家を売る」
という仕組みです。
▼ 任意売却のメリット
- 競売より高く売れる可能性が高い
- 引っ越し費用が出るケースが多い
- ご近所に知られにくい
- 相談料は無料(完全成功報酬)
- 新しい住まい探しまで一緒にサポートできる
実際の相談は
“期限の利益を失ってから〜競売開始までの間” が最も多いです。
■ まずは状況を整理することが最優先
以下を整理するだけで、選択肢が明確になります。
- いつ滞納が始まったか
- どの書面が届いているか
- 残債はいくらか
- 家族構成・現在の収入
- 物件の状態(戸建て・マンション・空き家など)
▼ よくある誤解
「何を話せばいいか分からないから相談できない」
という声をよくいただきます。
しかし実際には、
ほとんどの方が途中から情報整理を一緒に進めていきます。
最初は“わかる範囲だけ”で十分です。

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